1.日本の海外直接投資は輸出代替的効果を持っているが、NiesやASEANについては輸出促進的であった。日本の直接投資はNiesやASEANの経済成長と雇用拡大に貢献したが、日本においては90年代に入ってから失業の一つの原因になっている。 2.変動相場制度においては財政政策は有効性をもたない、というマンデル・フレミング型モデルを検討し、それが国際収支均衡を仮定した結果であることを明らかにした。 3.国内需要としては、福祉ニーズが大きいことをあきらかにし、その数量推定、地域経済への貢献などのついて地域産業連関分析によって明らかにしつつある。 4.阪神大震災の雇用への影響に関しては、当初、ミスマッチ(職業と年齢)はあるものの求人倍率で見る限り好転していた。これは、震災復興のための公共事業によるものであるが、同時に、希望の職種がないとのあきらめから求職しない人びとがふえたことも一因である。震災後3年をむかえて、震災関連予算が減少するにつれて雇用状況は悪くなってきている。景気の悪化がいっそう雇用状況を悪化させている。 5.南北モデル、北北モデルを作成し、直接投資が経済成長と雇用に与える影響を理論的に分析中であり、近じか公刊できる。また、国際マクロ動学(成長と循環の国際連関)の研究にとりかかっている。 6.ベトナム日本研究センターとの共同シンポにおいて、「日本経済の現状と今後の展望」を報告し、東アジアと日本の関係、金融不安について意見交換した。
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