研究課題/領域番号 |
08640419
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小堀 裕巳 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90202069)
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研究分担者 |
藤井 研一 大阪大学大学院, 理学研究科, 助手 (10189988)
中田 博保 大阪大学大学院, 理学研究科, 助教授 (60116069)
大山 忠司 大阪大学大学院, 理学研究科, 教授 (40029715)
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キーワード | 金属・非金属転移 / 磁場 / 半導体 / Zeeman磁気光分光 / ドナー / トーマス・フェルミ近似 / スクリーニング / 変分法 |
研究概要 |
前年度は、Zeeman磁気光分光を用いた半導体中の磁場誘起-金属・非金属転移を調べるために、半導体として、伝導電子の有効質量が等方的で、有効質量近似が極めて良く合うGaAsを選択し、ドナー濃度を10^<14>cm^<-3>-10^<18>cm^<-3>までの範囲でエピタキシャル成長させたn型試料を10種類以上用意した。1s→2p_<+1>遷移に対応するゼーマン磁気光吸収のドナー濃度、磁場及び温度依存性を詳細に調べた。磁場によって、ドナーの波動関数は収縮するので、金属・非金属転移を引き起こすドナー濃度は増加すると考えられる。これは、ゼーマン磁気光吸収によって明確に示され、更に、金属領域にある試料についての磁場依存性を観測する事により、磁場誘起-金属・非金属転移を観測した。これを、定量的に説明するために、我々はトーマス・フェルミ近似の範囲内で、変分法を用い、非金属-金属転移を起こすドナー濃度を計算した。信頼のおける変分試行波動関数を選び、最初に、磁場中でスクリーニングのない場合について計算し、近似精度が良いとされるLarsenによる計算結果とほぼ一致した。次に、零磁場でスクリーニングのない場合について調べ、任意磁場でスクリーニングがある場合へと拡張した。それと同時に、変分試行波動関数として水素原子型、調和振動子型の場合についても計算し、比較した結果、我々の用いた変分関数が、スクリーニングのある場合も、良い精度を与える事が確認された。この時、注目すべきは、磁場がある場合、絶対零度では常に束縛状態が生じる事である。すなわち、常に非金属状態にあり、有限温度で、はじめて金属状態が存在する。我々は、更に、強束縛近似に基づいたハバ-ドモデルを用いて、磁場中での下方及び上方ハバ-ドバンドや励起状態のバンドを変分法を用いた計算へと拡張する予定である。将来的には、より厳密な量子モンテカルロ法、特に、拡散グリーン関数法を用いた定量的評価へと発展させるつもりである。更に、電気的測定は継続中であるが、それらの実験値とこれまでの実験値を詳しく比較検討する。
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