研究概要 |
本研究では,線形ブロック符号の各符号シンボルの最大先験確率のよい近似値を求めるlog-MAP法の効率的な計算法に関する研究を行なった.定義から,log-MAP法は最尤復号法の拡張と考えることができ,後者より複雑度が高い.研究代表・分担者らが提案している再帰的最尤復号法(RMLD)は,従来の最尤復号法に比べて複雑度が低いことが既に示されているので,その再帰的手法のlog-MAP法への適用を検討した.先づ,RMLD自体が,繰り返し回路構成,並列,パイプライン構成に適していることを具体的に示した[11.発表論文,2〜4].ここで開発されたRMLD法の手法に基づき,log-MAP法の再帰的計算法を考慮し,それを実行するプログラムを試作した. 試作プログラムを,符号長64および128のReed-Muller符号,符号長64の拡大BCH符号に対し実行し,その計算量を実数加算と等価な演算回数によって評価したところ,提案手法は従来法に比べて格段に効率的であることが明らかとなった.とくに低レートの符号においてその改善は著しく,例えば符号長128の2次Reed-Muller符号では,従来法の約3%の計算量でlog-MAP復号が可能となった.[11.発表論文,4〜6]. 多段階復号法への適用については,Reed-Muller符号,EG符号,多重EG符号(いくつかのBCH符号も含まれる)のclosest coset復号法への適用を検討している.
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