研究概要 |
8年度に引続き,先ず,研究代表・分担者らが提案している再帰的最尤復号法(RMLD)の機構化の詳細を検討[様式11の発表論文2],それらに基づいて,前年度に報告した再帰的なlog-MAP法[発表論文1]の改善を検討,再帰的MAP法へ拡張し,プロトタイプの実行プログラムを試作した.多段階繰り返し復号法への適用については,研究代表分担者によって,前段からの硬判定出力を次段へ伝えるcloset coset復号法について詳細な研究が既に行なわれており比較対照が容易なclosest coset復号法へ適用した。段階間をlog-MAP法およびMAP法による軟判定出力で置き換えると共に,最終段の軟判定出力を第一段にフィードバックする繰り返し形復号方式について検討し,その復号複雑度および誤り制御特性の改善度を模擬によって評価した[発表論文4,5]. その結果,例えば長さ64の2次と3次のReed-Muller符号(RM(6,2)とRM(6,3))の2段分解について,log-MAP法では約2回,MAP法では約5回の繰り返しでビット誤り率の改善が飽和することが明らかとなった.誤り率が飽和する5回の繰り返しを行った場合,MAP法ではブロック誤り率10^<-5>附近で,従来の段階間硬判定非繰り返し形復号法と比較して,RM(6,2)で約0.5dB,RM(6,3)で約0.25dBの改善が得られた.最尤復号法との差はそれぞれ約0.5dB,0.23dBである.またLog-MAP法で,RM(6,2)に対して飽和回数である2回の繰り返し復号を行った場合,従来法,最尤復号法との差はそれぞれ約0.4dB,0.6dBとなった.その際必要となる復号複雑さは,RM(6,2),RM(6,3)を分解せずに一段で最尤復号法を適用したときの復号複雑さの約1/5程度である.
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