本年度は、コンクリート強度を主要因(f'_c=45、85N/mm^2)とした2スパンPC連続はりの載荷試験よりアンボンドとボンドタイプの曲げ耐荷挙動を比較し、その定量化手法を検討した。また、両タイプのPC単純はりと連続はりに関してせん断耐荷挙動を検討した。 本研究から得られた主な結果を要約すると以下のとおりである。 (1)PC鋼材付着の有無によらず、f'_c=85N/mm^2の高強度コンクリートはりの最大曲げ耐力はf'_c=45N/mm^2の普通強度はりより10%程度大きい。また、前者は後者に比べて最大耐力付近までのたわみは小さく剛性が大きい反面、最大耐力時のたわみは逆にかなり大きくなるという変形特性を有する。横拘束筋による靭性の改善効果は後者の方が大きい。 (2)アンボンド連続はりでは荷重によるPC鋼材応力の増加量がかなり小さくなるが、高強度コンクリートの適用により終局時までのPC鋼材応力の増加量はかなり増大する。 (3)終局時のモーメント再分配率とACI基準の許容再分配率の間には相関性がみられたが、鋼材付着の有無やコンクリート強度との関連も含め今後デ-tの蓄積が重要である。 (4)コンクリート強度を変数とした応力・ひずみ式を用い、PC鋼材変形適合係数βをボンドはりでβ=1.0、アンボンドはりではβ=0.2と仮定した簡易な非線形解析で終局時までの曲げ耐荷挙動が大略推定でき、極限解析法により終局曲げ耐力の算定が可能である。 (5)PC鋼材付着の有無で曲げひび割れの分散性が異なり、付着のある方が曲げせん断ひび割れの発生・進展によりせん断破壊が先行しやすく、付着の有無で破壊形式が著しく変化する。また、PC連続はりのせん断耐力に関しては、鋼材付着の有無によらず土木学会示方書設計式は部分安全係数の値をすべて1.0に設定してもかなり安全側となる。
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