研究概要 |
本研究は、従来あまり研究されていない空隙の大きな多孔体内での物質の移流分散特性、とくに、1)1本の水みち内での乱流拡散の特性と、2)水みちのネットワーク内での機構的分散の特性を明らかにしようとしたものである。 本研究で得られた成果は以下の通りである. 1)1本のみずみち、および、みずみちのネットワークの実験共に、分散係数Dは空隙内の実流速vと共に増加する。代表長を粒径とし実流速を用いたレイノルズ数が540程度以下では流れは層流となり、Dはvに比例し、1200程度以上で乱流となり、層流の場合より緩やかな勾配で増加する。そして、レイノルズ数が両者の中間では流れは遷移領域となりほぼ一定の価をとる。 2)拡散の原因として、分子拡散D_m、乱流拡散D_1、空隙内の流速分布による移流分散D_Lおよび、水みちのネットワークによる機構的分散D_Pが有るが、本研究で扱った空隙の大きな多孔体内の現象では、D_Lが最も卓越し、その次がD_Pで有り、D_mと当初予想していたD_tの効果はほとんど無視できることが分かった。 3)均質場と不均質場を比較すると、不均質場では、乱れが発生する流速は均質場より低流速でで構造上の局所的乱れが徐々に発生し、遷移領域で分散係数は緩やかに増加し、また、均質場に比べ底流速から乱流域に入り、機構的分散の効果により,分散系数は均質場の値を上回ることが分かった。
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