ラットタイプ2アンジオテンシンIIレプター(AT2)のリガンド結合残基の決定(研究代表者 山野好章) アンジオテンシンIIレセプターには拮抗薬に対する反応性の違いによりタイプ1(AT1)とタイプ2(AT2)の2種類が存在する。血圧上昇作用などはAT1を介して引さ起こされることがわかっているが、AT2を介した生理作用は明確ではない。そこで、AT2の作用機構を明らかにするために、その第1段階として、アンジオテンシンIIの結合部位を明らかにした。先ず、AT1とAT2で保存されたアミノ酸残基に注目した。さらに、アミノ基、カルボキシル基、芳香族環の間で形成される、NH-π相互作用を考慮した。そこで、AT2の9個のアミノ酸について、部位特異的突然変異法により、アラニン置換を行い、これを、COS-7細胞で発現させ、アンジオテンシンIIの結合変化を見た。その結果、アンジオテンシンIIの1番目のアスパラギン酸はAT2のW110とK118の間で形成されるNH-π相互作用により結合が形成されることがわかった。2番目のアルギニンはW110と未定のアスパラギン酸の間で形成されるNH-π相互作用により結合が形成されると考えられる。8番目のフェニルアラニンのカルボキシル基はK216とW270の間で形成されるNH-π相互作用により安定化していることがわかった。 ヒトアンジオテンシンIIレセプター異常症の検索(研究分担者 森嶋伊佐夫) AT2異常による病気の検索を行うために、PCR-SSCP法を行った。ヒトAT2をコードする領域を4分割し、PCR増幅するために4対のプライマーを設計した。検体はAT2異常の考えられる患者由来のゲノムDNAを用いた。すなわち、腎奇形、高血圧症、白血病などの症例である。これまでのところ、いずれのサンプルについても正常型と相違が認められなかったため、さらに他の症例についても検討する必要がある。
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