本研究では、甲殻類のコレステロールの要求量(mg/g体重/日)を要因加算法、すなわち維持(maintenance)や体コレステロールの増加(body retention)に必要な外因性のコレステロール量を求めようとした。 (1)まず、指標物質の分析と稚エビに対する適性を検討するために、飼料コレステロールおよび二重指標物質(コレスタンおよびn-アルカン類)の同時定量法の開発を行った。すなわち、ガスクロマトグラフィーを用いて、コレスタンおよびn-アルカン類(C_<28>、C_<30>、C_<32>、C_<34>)を同一のカラムで分離、定量を行い、つぎに、甲殻類(クルマエビおよびオニテナガエビ)に試験飼料を給餌して、二重指標物質法による摂餌率と飼料コレステロールの消化吸収率の測定条件を決定した。 (2)次に、甲殻類(クルマエビ、オニテナガエビ)の摂餌率とコレステロール吸収率の測定を行った。カゼインおよび魚粉を主なタンパク質源とする試験飼料を用いて、クルマエビおよびオニテナガエビの稚エビにおける体コレステロールの維持に必要なコレステロール量および最大成長時の体コレステロール質の増加量を飼育実験および体組織の分析によって求めた。 (3)上記(2)の飼育実験の前後におけるエビ体組織および飼料のコレステロールの定量を行い、維持および体コレステロールの増加に必要な外因性コレステロールの必要量を求め、クルマエビのコレステロール要求量を推定した。 (4)さらに、クルマエビの場合と同様な実験を行い、オニテナガエビのコレステロール要求量を検討した。すなわち、カゼインおよび魚粉を主なタンパク質源とする試験飼料を用いて。オニテナガエビの稚エビのコレステロールの要求量を求めた。
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