研究概要 |
[目的]摘出灌流肺では低酸素で肺血管が収縮するとともに呼気NO濃度[NO]が低下することが報告されている。しかし、そのメカニズムは不明である。そこで、肺血管内の酸素濃度を制御するとともに吸入気酸素濃度を変えて肺動脈圧(Ppa)と[NO]がどのように変化するかを検討した。[方法]家兎(3.5-4.5kg)を麻酔し、気管切開後人工換気し、Krebs-Henseleit液を灌流し摘出灌流肺とした。換気は標準ガス(20%O_2,5%CO_2,N2balance)を用い、一定流量(100ml/min)下にPpaを測定した。[NO]はNO測定器(180NOA,Sievers)で測定した。FiO_2を0.5,0.2,0.15,0.1,0.05,0.25,0の順に変化させ[NO]とPpaおよびPaO_2の変化を観察した。[結果][NO]はFiO_2依存性に89から17ppb(FiO_20.5→0)に低下したが、FiO_20.05以下での低下が著しかった。Ppaは14から41mmHg(FiO_20.5→0)に上昇した。PaO_2は304から35Torr(FiO_20.5→0)に低下した。肺血管内の酸素濃度を変化させても上記の結果に変化はなかった。[考案]以上の結果より、呼気NO産生は、肺血管内酸素濃度の影響を受けず、肺胞の酸素分圧にのみ依存して変化する。したがって、低酸素は肺胞気NOを介して肺胞低酸素に晒された局所の肺血管収縮性を調節している可能性が考えられる。以上の研究実績を下記の学会にて発表した。 第36回日本胸部疾患学会総会(平成8年、宇都宮市) Second International Conference BIOCHEMISTRY and MOLECULAR BIOLOGY of NITRICOXIDE(July 1996 in Los Angeles)
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