研究概要 |
(1)血流ファントームによる実験からは造影剤の希釈は100倍前後で最大の信号が得られた.subtraction法により背景信号とのコントラスト雑音比は3ないし4倍に増大し,同法の併用が望ましいと考えられた. (2)ボランティアにおける検討結果からは投与時の希釈倍率2-3倍,注入速度1ml/秒,注入撮像間隔30秒程度で理想的な動脈像が得られた.使用パルス系列は繰り返し時間5msec,エコー時間2msec,flip角20-30度は最適条件と考えられた.flip角の増大は信号の上昇をもたらしたが同時に血流の拍動に由来するア-ティファクトの原因となるため最適条件は20-30度程度と巻得られた. (3)決定された撮像条件をもとに腹部大動脈瘤6例,骨盤部大動脈瘤2例,下肢閉塞性動脈硬化6例に対してMR angiographyを試みた.全例においてsubtraction法併用例で血流と背景信号とのコントラストの増強がみられ,末梢血管の抽出が改善された.閉塞および狭窄の評価のみならず側副血流路の評価は4例においてsubtraction法併用でのみ評価が可能であった. (4)本法は骨盤・下肢領域のみならず頭頚部,胸部,腹部領域においても広く応用が可能で,従来の方法論に比較してはるかに優れた画像を得ることが可能であった.したがって,今後は撮像領域を限定せず,他の領域における臨床有用性についてもあわせて検討していくべきと考えられた.
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