(1)広範囲の撮像方法の実用化 これまで1回の造影剤注入しか行えなかったために下肢動脈のように広い範囲が異常を呈する可能性のある場合には限られた領域のみを対象とするとしかなかった。しかしsubtraction法を応用することで異なる撮像範囲で2回の造影剤注入を試みることが可能な方法を開発した。これにより閉塞性動脈硬化症などの診断により実用的に対応できるようになった。 (2)パルス系例の高速化 従来の方法に比較してslice選択方向のzero fillingを用いた高速撮像方法を導入した。これを用いることにより確実に呼吸停止下で撮像が可能となり、胸部、腹部領域における応用が広がった。また、呼吸停止の必要のない、下肢領域でも同じ撮像時間の中で分解能を向上させることが可能となり、より小さな以上を検出することが可能となった。さらに撮像を繰り返すことによって時間分解能をもったMRAが可能となり、血管造影を不要とする適用がさらに拡大した。 RFパルス蔽機具の開発 特定の領域のRFパルス蔽機を行い、折り返しアーチファクトを消去し、画像の分解能を改善する蔽機具を開発中である。現在基礎実験により、良好な画像が得られており、臨床応用が可能と考えているが安全性の確認およびより撮像条件への影響を軽減するための最適な形状の検討を行っている。この2点が解決された時点で正常ボランティアによる実験に入る予定である。
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