研究分担者 |
今野 元博 近畿大学, 医学部, 助手 (00278681)
宮本 正章 近畿大学, 医学部, 講師 (50229895)
保木 昌徳 近畿大学, 医学部, 助手 (40278685)
窪田 昭男 近畿大学, 医学部, 講師 (10161671)
大柳 治正 近畿大学, 医学部, 教授 (00030958)
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研究概要 |
[目的]腸管虚血再潅流モデルを用い,虚血再潅流障害の発症にnitric oxide(NO)とoxidant stressがどのように関与しているかを,i)急性期およびii)慢性期の2期において検討した.[方法]i)急性期:Wistar系雄性rat(250g-350g)を用い,腸管の30分虚血,60分の再潅流を行った.(2)虚血10分前にNO合成酵素阻害剤であるL-NAME(10mg/kg),NOの前駆物質であるL-Arg(300mg/kg)を静注投与した.対照として生食(5ml/kg)を投与した.(3)再潅流後60分に脱血屠殺し,血清中の還元型・酸化型グルタチオン濃度,血中過酸化脂質,乳酸・ピルビン酸濃度の測定を行った。(4)虚血再潅流前後における血圧,腸管組織血流量,肝組織血流量,門脈血流量を測定した.ii)慢性期:上記の各群の虚血再潅流後,各群にL-NAME(20mg/kg/h),L-Arg(600mg/kg/h)および乳酸化リンゲル液の持続静注を5日間行い,その予後を検討した.[結果]i)急性期:LNAME投与群では7例注3例が死亡したが,他の2群は全例生存した。血中過酸化脂質,乳酸・ピルビン酸濃度および血清総グルタチオン濃度は3群間に差は認めなかった。しかしL-NAME群の酸化型グルタチオン濃度およびそのredox値は他の2群に比べ有意に高値を示した。再潅流後の血圧は3群間に差は認めなかったが,L-NAME群では腸管および肝組織血流量,門脈流量は低値を示した.しかし腸管の組織学的障害はL-Arg群で強い傾向を示した.ii)慢性期:L-NAME群は7例中2例,L-Ar群は7例中4例,対照群は7例中0例が死亡し,L-Arg群で死亡が多かく,腸管粘膜の障害も強かった.[結論]虚血再潅流直後にNOの合成を抑制すると肝臓などの臓器血流量が低下し,oxdat stressが憎悪した.しかし急性期以降はNOの過産生により臓器障害が助長すると考えられた.
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