研究課題/領域番号 |
08671410
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
轟 健 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (70114105)
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研究分担者 |
高田 泰次 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (10272197)
大塚 雅昭 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (80168997)
平野 隆 工業技術院, 生命工学研究所, 室長
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キーワード | 肝阻血再潅流障害 / Superoxide Dismutase (SOD) / Copolymer / SOD-DIVEMA結合体 / 肝微小循環 / 肝類洞 / 白血球動態 / 類洞血行 |
研究概要 |
肝阻血再潅流障害に及ぼすSOD-DIVEMA結合体の影響を生体蛍光顕微鏡(IVM)ビデオ観察解析システムを用いて検討した。 材料と方法:平均体重250gのSDラットを用いて肝左葉表面から肝類洞の血行状態と類洞や中心静脈内の白血球動態を阻血再潅流障害の指標とした。観察中のラット体温は37℃に保ち、露出臓器表面からの不感蒸泄を防止ぎ、頚動静脈から補液や血圧、血液ガスをモニターして全身の血行を生理的な状態に管理した。肝固有動脈と門脈本幹をクリップで0分(非遮断群)、20分及び30分間遮断した。20分及び30分遮断群は更に、SOD-DIVEMA結合体投与群と非投与群に分けた。開腹ラットを手術台に固定したままIVMのステージに乗せ、Naフルオレッセイン(0.2^<-6>M/Kg/0.2ml)及びロ-ダミン6G(10^<-7>M/Kg/0.2ml)を頚静脈より注入し、30分後にIVMで観察し、録画した。分子量約3万(Mw/Mn=1.4)のSOD-DIVEMA結合体を既に報告した方法で合成し、阻血解除5分前に1万単位/kg(体重)投与した。結果: SOD-DIVEMA結合体投与直後に平均3.1分(n=10)間持続する血圧低下(収縮期圧:17.9%、拡張期圧12.5%)が生じた。血行遮断により血流が途絶えた類洞数は遮断時間の延長に応じて増加したが、結合体投与により有意(p<0.05)に血流途絶類洞数が減少した。類洞と中心静脈の膠着白血球数は遮断時間応じて増加した。結合体投与により、類洞内の膠着白血球数は30分遮断時に比べて有意(p<0.01)に増加し、中心静脈内では30分遮断時と同等であった。考察:従来、肝阻血再潅流障害は類洞内皮に膠着する白血球が類洞血流途絶を生じて肝実質細胞障害を引き起こすとされている。しかし、本年度の我々実験結果は従来の阻血再潅流障害発生機序では説明出来ない面があり、次年度以降の研究結果に興味がある。
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