研究課題/領域番号 |
08671564
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山上 岩男 千葉大学, 医学部・付属病院, 講師 (90241968)
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研究分担者 |
久保田 基夫 千葉大学, 医学部・付属病院, 助手 (10225211)
池平 博夫 千葉大学, 医学部・付属病院, 講師 (50150313)
北原 宏 千葉大学, 医学部・付属病院, 教授 (30114268)
山浦 晶 千葉大学, 医学部, 教授 (40009717)
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キーワード | fluid percussion injury / brain edema / MRI / blood brain barrior |
研究概要 |
今回我々は、主に脳浮腫形成における水の移動様式に関して新しい知見を得ることを目的とし、MRI分子拡散強調画像により、実験的頭部外傷後急性期の病態解析を行った。 (対象および方法)(実験1)雄性Wistar系rat60匹を用い、左側の側頭部にfluid percussion injury装置により限局性脳挫創を作成した。これらは外傷作成前にhorse-radish peroxidase(以下HRP)70mg/kgを静脈内投与しておいた。外傷作成後、T1-T2強調画像およびMRI拡散強調画像を撮像し計時的に観察した。その後、直ちに脳を摘出して切片を作成、ヘマトキシリン-エオジン染色(以下H-E染色)にて病理学的変化を観察し、同時にHRPおよび内因性albuminの漏出を免疫組織化学的手法で評価し、T1・T2強調画像およびMRI拡散強調画像との比較検討を行った。(実験2)つづいてrat30匹を使用し、HRP投与・外傷作成後早期間頭操作を施し、実験1と同じ条件で観察を行い結果を比較検討した。またH-E染色、HRPおよび内因性alvuminの漏出の免疫組織化学的評価とMR画像との比較検討も実験1と同様に行った。使用したMRI装置はsmis社製、1.5T超伝導MRIであり、使用コイルはプロトン用の自作コイルを使用した。撮像方向は時間の関係上axial1方向1スライスとした。MRI拡散強調画像では特に拡散の方向は規定しなかった。画像の評価T1・T2強調画像およびMRI拡散強調画をそぞれ比較検討するほかに、T2およびMRI拡散強調画像におけるhigh intensityarea(以下HIA)の大きさと脳との面積比を比較検討した。 (結果)外傷後において、T1・T2強調画像およびMRI拡散強調画像のうち最も早期から画像上の変化を認めたのはMRI拡散強調画像であった。外傷後30分ではT1・T2強調画像では、外傷部位に比較的限局した脳浮腫を認めるのみであったが、MRI拡散強調画像では外傷後30分ですでに広範なHIAを認めているものが多かった。一方外傷後240分のT2強調画像は外傷後30分の拡散強調画像をよく反映していた。病理組織との比較では、外傷後亜急性期のT1・T2強調画像が病理診断における血液脳関門の障害を反映するのは当然だが、MRI拡散強調が像は外傷後町急性期の画像でも病理診断における血液脳関門の障害を強く反映していた。一方開頭操作を行った群と行わなかった群との比較では、開頭操作を行った群の方がややT2およびMRI拡散強調画像におけるHIAのサイズは小さい印象を受けたが、そのHIAのサイズと脳との面積比では統計学的に有意な差を認めるにはいたらなかった。
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