研究概要 |
気象観測の行われる以前に関して、モンスーンアジアと北大西洋周辺地域の間での,気候変動の関係の解明を目的とした。継続作成中の「歴史機構データベース」を充実させるとともに,個別系に作成されている古気候データベースとの交換を、資料を得る方法とした。それらのデータベース利用により,主に「中世温暖期」と「小氷期」の2つの対照的な気候の期間について,気候変動の比較を試みた。本研究の遂行により達成および解明されたことは,以下である。 1.「歴史気候データベース」の充実 古記録から天候・災害記事を収集・整理し,作成中のデータベースに追加することにより,従来の近世のものに加えて,古代と中世においてもデータ数が増大した。 2.内外の古気候データベースとの交換 上記のデータベースなどをインターネット上で利用できるようにした。同URLは,http://edcgeo.edu.toyama-u.ac.jp/である。さらにヨーロッパなどのデータベースからも,古気候データを利用した。 3.歴史時代の気候変動の解明 モンスーンアジアと北大西洋周辺地域では,歴史時代の気候変動には以下のような差異がみられた。 (1)「中世温暖期」において,ヨーロッパでは温暖である一方,日本では温暖はやや不明瞭である。 (2)「小氷期」には,日本の気候変動はエルニーニョの変動との関係が認められるのに対して,ヨーロッパではエルニーニョの変動との関係は不明瞭である。
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