研究概要 |
過去6年間において、入学生の40-50%が高校で物理を履修して来なかった.過去4年間に行った入学直後の物理基礎学力試験の結果は,物理履修者の平均正解率が毎年約80%であったのに対し,物理非履修者の場合は30-40%であった.この大きな学力格差を是正する目的で開講されている「物理学基礎演習」の受講者は毎年入学生の44-56%であり,4年間の平均で51%であった.受講者は1クラス約50名であるが,その中にもかなりの学力格差が存在し,各自の弱点とする部分にも個人差がある. 個々の学生にきめ細かく対応し,演習形式授業で効果をあげるために,マークカードを利用した小テストを頻繁に行った.そのための出題方法を模索した結果,選択肢の中から正解を選ばせる形式よりも,数値計算問題の方が容易に多様な問題を多数用意することができた.ただし,そのためには解答方法を工夫する必要があった.マークカードを利用することによって,個々の学生への学習効果のフィードバックが迅速化でき,データーの蓄積と解析の容易化のために個人指導が効率化した.この授業に対する学生の反応をアンケート調査から見れば,内容,進度,水準,演習問題の量については60-70%の学生が適切であったと回答した.マークカードの利用については,約75%の学生が支持しているが,数値解答の記入ミスが生じ易いことを指摘する意見もあった. この「物理学基礎演習」を真剣に履修したか否かは小テストの平均点に表れていると考えられるが,それと他の物理学関連授業の成績との相関を見れば,いずれも相関係数が0.61-0.74の範囲にあり,全般的に見て,この授業はある程度の効果をあげていると結論できる.
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