研究概要 |
高校で物理を履修して来なかった約50名ほどの学生への補正教育として行なってきた演習形式授業において,マークカードを利用することにより,教育効果を向上させることを試みてきた.これまでに演習問題の作成技術,マークカードによる小テストの実施方法などを模索し,いくつかの技法を開発した.それらは数値計算問題を解かせることを通して,基礎知識と基礎概念を身につけさせ,その成果を評価しようとするものであった. これまでの研究において,この授業における小テストの平均点と他の物理学関連授業の成績との相関が約0.7であることから,この授業方法による教育効果はかなりよいものと判断してきたが,今年度の研究において,マークカードによる学力測定の信頼性を検討した.その方法の一つとして,今年度と昨年度の小テストの成績の推移を比較すると,小テストが記述式であったかマークカードで行なったかには関係ないことが分かった.この結果から,マークカードによる試験でも学力評価はほぼ正確に行なう事ができると考えられる. 今年度は個々の学生への対応をはかるため,小テストの解答分布を示して学生の間違えやすい個所の分析を行なったが,より効果的に行なうための問題点がいくつか明らかになった.また,学生から見た各問題の難易度を調べてみると,それは正答率と必ずしも一致しなかった.このような調査はマークカードでは容易であり,問題作成や授業方法の改善に多いに役立てることができる.
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