研究概要 |
高校で物理を履修して来なかった約50名ほどの学生への補正教育として1982年以来行なってきた演習形式授業において,マークカードを利用することによって,教育効果を向上させることを試みてきた.これまでに演習問題の作成技術,マークカードによる小テストの実施方法などを模索し,いくつかの技法を開発した.それらは数値計算問題を解かせることを通して,基礎知識と基礎概念を身につけさせ,その成果を評価しようとするものであった. 小テストの解答分布を学生に示すなどして指導に役立てることを試みたが,個々の学生のきめこまかな指導法の確立にはまだいたっていない.我々はしばしば問題に対する学生の主観的な難易度などを調べ,正答率との比較を行なってきたが,これはマークカードを用いる場合容易であり,問題作成や授業の進め方の改善に役立つことが分かった.これは授業改善の新手法である. マークカードによる学力測定の信頼性を調べる方法の一つとして,各年度における小テストの成績の推移を比較した結果,小テストが記述式であったかマークカードで行なったかには関係ないことが分かった.この結果から,マークカードによる試験でも学力評価はほぼ正確に行なう事ができると考えられる. この補正授業に各受講学生が真剣に取り組んだか否かは,各学生の小テストの平均点にある程度反映されていると考えられるが,それと他の物理学関連授業の成績との関連を調べると,相関係数が約0.7であることから,この授業方法による教育効果はかなりよいものと判断される.
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