研究課題/領域番号 |
08680222
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
大河原 清 岩手大学, 教育学部, 教授 (40168878)
|
研究分担者 |
上谷 順三郎 岩手大学, 教育学部, 助教授 (10233941)
望月 善次 岩手大学, 教育学部, 教授 (40125480)
|
キーワード | コミュニケーション・スタイル / メッセージ / わたしメッセージ / あなたメッセージ / 不登校 / 学級通信 / 教師学 / 教師の言葉 |
研究概要 |
標記の研究課題名のもとで三つの立場から基礎的研究を進めた。 1. 大学の教員養成学部で使用可能なコミュニケーション用テキスト教材を開発した。テキストは「言葉の意味を作るのは受け手である」を学生自身が導けるような演習用教材である。 2. 不登校を予防するために大学の授業で教授可能な、トマス・ゴードンにより開始され近藤千恵氏によって我が国に広められている『教師学』に着目して、その利用可能性を検評した。次のことが分かった。(1)「あなた」を主語とする「あなたメッセージ」よりも、「わたし」を主語とする「わたしメッセージ」は学習者のやる気を引き起こす。これは学級通信の記事や『教師学』のテキスト講読の両方を通じて可能である。(2)わたしメッセージの表現のためには、教育観を変える必要がある。(3)教師学の4日間の集中講義でも重要な概念の7割近くで効果を上げることが可能である。しかし行動の四角形という概念の習得は困難であった。 3. 小学生1213人、中学生1170人、高校生444人、そしてこれらの学習者を教える小学校教師50人、中学校教師97人、高校教師63人に対して行ったアンケート調査の結果から次のことが判明した。(1)教師と学習者の間には、学習指導と生徒指導の見方・考え方について、不一致度が見られた。不一致度は校種が上がるほど大きくなった。質問項目77項目において、小学校で平均して1.23倍、中学校で1.59倍、高校で2.37倍の違いがあった。特に、小中高校に共通な項目は、「教師が児童・生徒から何かを得ようとする態度が少ないこと」であった。(2)学習指導では、教師が児童・生徒の興味の持てる例を上げることが少ないことであった。(3)教師によるひどい言葉は少なく、代わりに疑いの言葉が教師から発せられていると、学習者が捉えていることが分かった。(4)教師が学習者の声を聞くということも少なく、学習者は教師に耳を傾けて欲しいと願っていることが分かった。
|