本研究においては「高齢者が現代情報化社会の中で、健康安全に関する情報など必要とされる情報をコンピュータなどの情報機器を活用して有効に得るためには、どうしたらよいか」と言うことについて、主として以下の2つの方法により検討した。 (1)高齢者予備軍とも言うべき人々の意識を知るために、1996年7月に、大手企業の中高年の勤労者約1100名に、留め置き法による質問紙調査を実施した。そのなかで「情報化社会等に関する意識(自由記述)」と、コンピュータ、パソコン通信等への接近度、コンピュータイメージ、健康度、健康観、健康情報・安全情報とそのアクセス、生きがい、交友関係などに関して調査した。主な結果としては、コンピュータを「仕事の上」では「毎日使う」のは女性の方が男性より多く、30代、20代の人が多く、事務職が多かった。「使わない」のは男性、10代と50代の人、生産現場職の人が多かった。「家庭でのコンピュータ利用」については、職種、年代別によって、大きな差がみられた。家庭でのコンピュータ利用頻度の高い研究開発職はコンピュータが好きな人が多く、コンピュータを全く使わない頻度の高い生産現場職はコンピュータが嫌いな人が多かった。 (2)パソコン通信ネットワークのシニアフォーラムのログ分析 ニフティーサーブのメロウフォーラムなどの高齢者向けフォーラム(シニアフォーラム)について、その活動の特色を会議室の発言等の分析により検討した。今回は特に健康関連の発言を分析したが、一般には健康関係の関心が高いこと、しかし薬草のことなどは高齢ネットワーカーでもほとんど関心を持たれず、話題提供者が離れることなどが明らかになった。
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