研究概要 |
この研究では、各種の衛星による桜島火山噴煙のリモートセンシング、地上からの映像観測、高層気象資料、桜島の周辺部及び遠地点の高地における二酸化硫黄濃度の連続モニタリングなどのデータを解析し、火山ガスと噴煙の大気拡散について検討した。さらに、阿蘇火山・雲仙普賢岳の噴煙,火砕流煙や南西諸島の火山と噴煙についても衛星データなどの解析を進めた。その結果、次の点が明らかにになった。 1 噴煙の上昇発達は、熱浮力を与える放出強度と上空の風速によって規定され、様々な形態をとる。定常的放出で強風が卓越する場合、吹き降ろされてから上昇する山岳波に沿って噴煙流が見られる。 2 噴煙は周辺大気とバランスした高度でほぼ水平に移流し、その拡散は噴煙高度の違いによる風の鉛直シヤ-に支配され、線状移流、帯状・扇状拡散などの形態をとる。これらは地球観測衛星および気象衛星の画像データによって様々なスケールで検出され、その特徴は高層風データに基づくコンピューターシミュレーションによって再現される。 3 火山ガスは噴煙と挙動と共にし、高地における二酸化硫黄の高濃度事象として阿蘇・桜島から70km,130-150km離れた所でも検出される。火山周辺での火山ガスは、無風時お滞留とともに、強風によって高濃度のままで風下へ吹き付けられることに警戒が必要である。 今後新たな方法を取り入れながら観測と解析を継続するとともに、衛星データ解析の対象を環太平洋火山帯に拡大したいと考えている。また、火山ガスと噴煙の動態のダイナミカルな理解も今後の課題である。
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