研究概要 |
化学療法前の肺小細胞癌患者に核医学検査(^<99m>Tc-MIBIと^<201>TlCl SPECT)を施行し,その集積程度と治療効果について検討した。 治療前後の胸部CT像より固形癌化学療法効果判定基準に従いCR,PR,NC群に分類した。核医学検査の定量的評価法として各々のSPECTより得られたデータからER,DR,RIを算出し,また,両核種の集積程度を比較するためにTl/MIBI比も求めた。MIBI SPECTの結果ではER,DRともにCR,PR群はNC群に比べ有意に高値を示し,RIはNC群が最も低値を示した。TlSPECTの結果ではNC,PR,CR群の順にRIが高い傾向を示した。Tl/MIBI比はER,DRともにCR,PR,NC群の順に低値となった。 今回の我々の結果から,抗癌剤耐性であるNC群のMIBIは抗癌剤と同様に細胞内から細胞外への汲み出しの亢進が認められた。一方,Tlはその理由は不明であるがNC群ほど細胞内へのTlのretentionの傾向が強かった。従って,肺癌患者の治療前にTl/MIBI比を算出することで患者の予後推定に役立つ可能性が示唆された。
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