研究課題
平成21年度は、次のような課題を実施した。(1)tRNA m7G46修飾の役割を明らかたする。好熱菌trmB遺伝子破壊株を作製したところ、破壊株は高温では非常に生育が悪くなるが事が明らかになった。タンパク質合成量を詳細にみると、高温環境下だけでなく、表現系変化のなかった至適生育温度においても、タンパク質合成量が減少していることを確認した。また、遺伝子破壊株tRNAは、他の修飾ヌクレオシドの量も減少しており、融点の低下、tRNAの分解が起こっていた。これらのことから、tRNA m7G46は、他のtRNA修飾酵素と連動しており、修飾ネットワークのカギ酵素である事を示唆した。(2)好熱菌型TrmBの触媒メカニズムの推定とX線結晶構造解析tRNA m7G46メチル化酵素は、真正細菌、真核生物に共通して見つかっており、機能解析、構造解析等が進められているが、その詳細な反応メカニズムは分かっていなかった。そこで、好熱菌型TrmBの変異酵素解析や熱力学的解析を進めることにより、既知の構造データをもとにして、反応メカニズムの推定を行った。現在、TrmB-tRNA-AdoMetの三者複合体X線結晶構造解析を進めているところである。(3)古細菌由来tRNA m7Gの分析古細菌tRNA中にm7Gがある事を発見した。これをメチル化する修飾酵素遺伝子の同定をめざし、候補遺伝子の大量発現系を構築した。現在、この候補遺伝子について解析を進めると同時に、古細菌の培養も行っているところである。
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Nucleic Acids Research 38
ページ: 942-957
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ページ: 20467-20478
http://www.ehime-u.ac.jp/~achem/bchem/