研究概要 |
所属研究室でRap2がMAP4K(TNIK、MINK等)を介してJNK非依存的に細胞の形態、接着、極性、運動等を制御することを見出しており、本研究の目的は、(1)Rap2-MAP4KによるJNK非依存性表現型の詳細な解析、(2)Rap2-MAP4Kにより発現やリン酸化が変化する蛋白質やMAP4K結合蛋白質のプロテオミクス的解析である。細胞レベルの解析としては、親株で強く発現しているRap2が娘株で発現していない上皮細胞株ペアを見出しており、娘株で細胞の伸展、細胞間接着の減弱、運動能の亢進を認める。プロテオミクス解析(2D-DIGE・MALDI-TOF/HS)でkeratin 8/18,14-3-3 sigma等の発現差を見いだしており、Rap2との関係を解析する。プロテオミクス解析と比較する目的でDNAチップによるトランスクリプトーム解析も行っており、発現量が4倍以上異なる遺伝子を200あまり見いだしている。また、JNK非依存的経路の一つとして足場蛋白質TANC1がTNIK、MINKと結合しリン酸化されること、JNK非依存的経路にはRap2がrecycling endosomeでTNIKを活性化する必要があることを論文報告した。一方、個体レベルの解析としては、Rap2のノックアウトマウスの作成を進めており、Rap2B遺伝子に関してヘテロ欠損マウスを得ている。ホモ欠損マウスの表現型を精査するとともに各組織のプロテオミクス解析を行う予定である。一方、リン酸化蛋白質に親和性を持つphos-tagアクリルアミドゲルを応用しリン酸化蛋白質検出に特化した新規二次元電気泳動法の開発は、蛋白質の分解能と再現性の向上のため改良中である。
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