研究課題
本年度は昨年度に引きつづき、テル・ガーネム・アル・アリ遺跡での発掘調査に参加し、土壌サンプルの採取、およびフローテーション処理による炭化物の収集を行った。なお、テル・ガーネム・アル・アリ遺跡の住人の墓地と考えられる、青銅器時代のシャフト墓群も調査され、土壌サンプルが採取されたが、分析はまだ行っていない。さらに、遺跡周辺及び台地上、ビシュリ山中における現生の植生調査・標本採取を行った。ラボワークでは、昨年度以前に採取した資料のうち、ステップトレンチである第2発掘区から採取した炭化物については分析を完了した。その結果、居住開始直後(フェイズ1)から廃絶直前(フェイズ3)までの、連続した植物利用の変遷を明らかにした。食料植物では、居住期間を通してオオムギが最も主体的に出土し、コムギ、レンズマメ、グラスマメ、ブドウも出土した。フェイズ3になるとブドウの数が急増するほか、コムギの穂軸も増加する。いずれもオオムギより良好な水分条件を必要とする種であるが、花粉分析ではフェイズ3の頃は気候変動があったとされる時期で、テル・ガーネム・アル・アリ遺跡を含め多くの遺跡が廃絶または縮小する。それ以前よりもインテンシブな農耕、例えば原始的な灌概、もしくは交易によってコムギやブドウを確保するようになったと考えられる。出土する雑草/野生植物のアセンブリッジも変化がみられ、この現象も畑の立地や耕地環境に起きた何らかの変化を反映していると考えられる。
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Formation of Tribal Communities of Integrated Research in the Middle Euphrates' Al-Rafidan Journal of Western Asiatic Studies
ページ: 97-104
http://homepage.kokushikan.ac.jp/kaonuma/tokuteiryouiki/index.html