本研究は、文体論(表現分析)および思想史学(言説分析)という二つの方法論に準拠しつつ、小説家あるいは知識人として戦後日本の文化史に大きな足跡を残した三島由紀夫の諸テクストの総合的・領域横断的な分析を進め、この作家の全体像の刷新を目指すものである。平成21年度に着手した論文は、(1)「三島由紀夫『美しい星』論-核時代の想像力」(「日本近代文学」第81集掲載)、(2)「表象としての天皇-1960年のテロリズムと文学」(同時代史研究会発表予定、7月)、(3)「三島由紀夫『金閣寺』論-他者の一人称」の三点である。 また今年度は、博士論文「三島由紀夫論-イロニーとしての文体」を東京大学人文社会系研究科に提出した。近日中にその成果の公開をはかりたい。
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