研究概要 |
Dalgarno教授、Zygelman教授及びDalgarno教授の共同研究者であるStancil博士らと共同で極低エネルギー(meV)におけるイオン/原子-原子衝突による非弾性散乱過程、特に電荷移行過程を精度よく取り扱つかえる理論の枠組みを整備した。そしてその理論に基づいて幾種かの衝突系について具体的な計算を実施した。特に極低エネルギーでの原子衝突は電子の軌道速度が重粒子の相対速度より速く衝突系が擬分子状態を作っていると考える、分子表示の描像が正しいと考えらる。この表示の場合electron translation factor(ETF)をどのように理論に取り入れるかは今持って明らかではないが、我々はこのETFの取り扱いについて近似的な解を提唱した。本研究で取り扱った衝突系は、Si^<2+>+H,H^++S,Si^<3+>+He,H^++P,C^<2+>+H等で研究の成果は論文、国際・国内学会発表で報告した。また、Dalgarno,Stancil,季村、及び島村は原子物理の国際学会で招待講演を行った。ここで研究した衝突系は天体物理、医療物理、核融合等の応用分野で重要な役割をはたしている素過程であり、衝突系の衝突ダイナミックスの知見、電荷移行断面積等のデータが早急に必要とされていた。さらに上記した幾つかの衝突系における我々の電荷移行過程についての研究に触発され、実験的断面積測定が行われ、我々の理論の精度についての検証が可能となった。来年度はさらに衝突エネルギーの低い場合について取り扱えるよう我々の理論を拡張・整備していき、Bose-Einstein Condensationにおける原子衝突を取り扱える様目指していく。
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