研究課題/領域番号 |
09044201
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡田 守彦 筑波大学, 体育科学系, 教授 (60011615)
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研究分担者 |
中務 真人 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00227828)
茶谷 薫 大阪医科大学, 医学部, 助手 (80278530)
熊倉 博雄 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (00178063)
山崎 信寿 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (70101996)
木村 賛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20161565)
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キーワード | 霊長類 / ロコモーション / 形態 / 樹上生活 / 適応 / ヒト / 二足性 / 筋線維組成 |
研究概要 |
本年度は初年度であることから、国際共同研究のための環境整備、準備を中心として研究を進めた。主要な成果は下記の通りである。1.リバプール大学医学部解剖学教室とわが国の研究分担者による共同研究として、霊長類の樹上ロコモーションのバイオメカニカルな解析を行うための実験空間、ポール型フォースセンサーの仕様等について、検討を行った。2.パリ自然史博物館比較解剖学部門とわが国の研究分担者による共同研究として、マカク液浸標本の骨格筋に免疫組織化学的手法を適用して、筋線維構成を検索した。本年度は、(1)液浸標本に上記手法を適用するための基礎的研究、(2)ニホンザルとアカゲザルの同名筋間の比較について資料切片を作製した。3.ベルリン自由大学人類生物学教室およびわが国の研究協力者の協力により、アフリカ類人猿および樹上性オナガザル類の二足性を含む運動適応に関する研究について、資料収集、研究許可の取得などを行った。4.さらに各分担者による個別的研究により、下記の研究成果を得た。(1)オペラント条件づけによる二足起立保持時において、ラット固有背筋の胸椎下部(Th13)、腰椎上部(L3)、同下部(L5)の活動は四足位および蹲踞位のそれの5〜20倍に達した。他方二足起立運動群では対照群に比べtransversospinalisの深部でFOG線維が多く、medial longissimusではSO, FOG線維が太く、FOG線維の面積比が大きかった。これらの結果よりラットの実験的二足起立姿勢は比較的静的な運動負荷として脊柱の背圧筋である腰部固有背筋に作用したと考えられた。(2)ニホンザル液浸標本足部の皮膚と筋を除去して、内反、外反位に運動させ、距骨の移動量と移動方向を3次元座標測定装置で記録した。その結果、距骨外転角、背屈角、内旋角の平均値はそれぞれ3.2, 4.8, 5.3度であり、外転角に対する背屈角、内旋角の比はそれぞれ1.5, 1.7であった。(3)靱帯などの関節抵抗と最小の膝伸展筋力で歩行する受動歩行モデルを用い、上下肢長比に応じた最適歩客を推定した。その結果、類人猿体型では前傾姿勢で膝伸展筋力が最小となり、上肢の振れが全身の協調運動に影響するが、ヒト体型では、直立姿勢で筋負荷が最小となり、上肢は自由な肢位が可能になることが分った。
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