研究分担者 |
網谷 龍介 神戸大学, 法学部, 助教授 (40251433)
アレキサンダー ロニー 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (40221006)
月村 太郎 神戸大学, 法学部, 教授 (70163780)
吉川 元 神戸大学, 法学部, 教授 (50153143)
松下 洋 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (60065464)
|
研究概要 |
計画の中間年度にあたる本年度の活動の中心の一つは,次年度の研究会の具体的内容を検討することである.10月半ばにシェフィールド大学側から2名(Hook,長谷川)を招聘して調整会を行い,次年度の研究会の方向を決定した.「ガヴァナンス再考(Rethinking Governence)」を研究会のテーマとし,この国際学術研究の全体的方針に沿って,個別の問題領域,中心的ではない地域を事例として取り上げ,そこにおける秩序形成の具体的様相,その条件を検討することが予定されている. 一方研究面では,各人がカウンターパートと意見の交換を行いながら自らの研究を進展させ,次年度の研究会に備えるのが主目標であった.この点については,各参加者が各々の専門領域で着実に研究を進めた.まず理論的には,「グローバル化」として通常指摘される経済関係の緊密化や資本移動の活発化は,すでに19世紀の自由貿易体制の下で生起していた現象であること,従って現在の「グローバル化」の理解にはその固有性を明らかにするため,国際関係の変動と関連付けて理解する必要のあることが明らかとなった.また個別の領域では,東中欧における多民族の共生を対外関係や,自治制度などとの関係で検討し,その可能性を探る試みがなされたほか,西ドイツの戦後体制を素材に,問題領域ごとに諸集団の自律的調整と問題解決を行うシステムが形成・展開していく過程を分析することで,そこに戦後西ドイツの安定の鍵を見出しうることが明らかとなった.総じて,自生的な秩序形成の条件とその可能性を個別の事例の中で探る方向性が共有されつつあるといえよう.
|