研究概要 |
本研究では,函数解析学・実解析学の最近の研究を把握し,新たな発展へ向かってそれらを統合する試みを行った.具体的には,研究者の主たる研究対象によって(1)実解析学の研究(2)量子数理と作用素の研究(3)表現論と調和解析の研究(4)作用素環・函数環の研究(5)偏微分方程式の函数解析的研究の5つの研究グループに分け,それぞれのグループがセミナーを主催し,全体としては,年1回大規模な研究集会である合同シンポジウムと年3回の合同打合会を行って,本研究全体の方向付けと,取りまとめを行った.合同シンポジウムを昨年度は7月22日〜24日の日程で茨城大学,本年度は7月15日〜17日の日程で東邦大学で開催した. 本研究成果の一つとして,例えば,量子数理と作用素グループでは,量子情報理論や現在様々なところで使われている複雑さに関する研究が行われ,情報力学の名の下で,系の力学と複雑さの融合が試みられた.一見,これらの研究は上記の個別分野の研究と無関係のように見えるが,情報力学の研究では,作用素代数,微分方程式,調和解析,エルゴート理論などの分野における多くの結果を必要とするので,その意味でも,上記の個別分野の研究は情報力学の研究を進めていく上で不可欠なものである.
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