研究課題
基盤研究(A)
本研究の目的は胸部X線画像の診断に有効な画像処理法の確立のため、胸部X線写真で微細陰影を診断する際の異常所見の種類・特性と診断過程における意思決定の関連性を明らかにし、CRTモニター上での有効な画像処理の方法を明らかにすることにある。本年度はまず、分担研究者の各施設で胸部写真を診断する時の診断ロジックの確認を診断医の思考課程を踏まえて検討し、また胸部デジタル画像(CRなど)で画像処理を行う際の医学的な根拠について整理した。その結果、画像処理に関しては、CRTモニターの最大の特徴であるが、肺全体を考える場合には肺野と縦隔、心・横隔膜に重なる肺野の描出に適した画像処理(ダイナミックレンジ圧縮など)が重要であることが分かった。点・線・画・濃度で構成される異常所見を個々に発見する際に有効な画像処理については周波数処理が有効な場合は限られており、それは綿状影(腫瘍辺縁を含む)や血管影などについて効果がある場合である。それ以外では周波数強調により、正常構造までが疑似病変に誤認される場合がある。階調処理では、粒状影、結節影、コンソリデイション、スリガラスなどで有効な場合がある。1枚の画像で肺野、縦隔部や心・横隔膜に重なる肺野の描出にも優れる画像処理法が理想であるが、現状では結論を出すのは容易ではない。理想に近い画像を基本に理論的に納得のいく処理画像を複数枚表示して結論を出すのも一つの考え方である。したがって、次年度ではCRTモニター上のデジタル画像診断の診断基準をさらに検討し、至適画像処理の条件を提案する必要がある。
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