研究分担者 |
鈴木 盛一 国立小児病院, 実験外科生体工学部, 部長 (00111386)
若月 芳雄 京都大学, 医学研究科, 講師 (40220826)
阿曽沼 克弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (40202626)
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 助手 (40252449)
田中 紘一 京都大学, 医学研究科, 教授 (20115877)
|
研究概要 |
「大動物における同種部分小腸移植モデルの作成と、移植後免疫応答の解析」 当初予定のビ-グル犬での成績が不良であったため、免疫学的な解明がより進行しており、解剖学的にも人への近似が容易なブタへ動物種を変更して小腸移植モデルを作成している。術式は生体小腸移植に準じ,グラフト上腸間膜動脈,門脈を各々腎下部の大動脈,下大静脈に端側吻合している。ブタモデルでは比較的拒絶反応が起きにくいことから,Landrace-Dulock(白豚)とBerkshire(黒豚)を用い,拒絶モデルとした。モデル動物の移植後生存率はいまのところ良好で、小腸移植後免疫学的解析への応用が可能となった。めざす免疫抑制療法の一つとして、まずFTY720とタクロリムス併用療法の検討を行う方針で,拒絶反応の早期診断がその評価に重要であり、指標の一つとしてTUNEL法を用いた腸上皮アポトーシスの検出についてもデータを蓄積中である。ブタのモデルでのこの様な検討は未だなされていない。現在までの検討では、人工肛門からの内視鏡所見では正常の腸粘膜所見を呈し,通常の組織学的検査において軽度の非特異的な炎症細胞が散在し,腸上皮のアポトーシスが不明瞭な時期においても,TUNEL法を用いることにより腸上皮細胞のアポトーシスの検出をより早期にかつ正確に診断できる可能性を示唆するデータが得られいる。これが拒絶反応の早期の正確な診断確立に寄与するものと考えられ、免疫抑制剤の調節に寄与すると期待している。平成10年度は例数を増やして,TUNEL法を用いた腸上皮細胞アポトーシス検出に基づく小腸移植時の拒絶反応診断法の確立,およびFTY720とタクロリムス併用免疫療法の有用性、さらに他の薬剤との併用の可能性の検証をめざす。
|