研究課題/領域番号 |
09358017
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
庄武 孝義 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (00003103)
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研究分担者 |
毛利 俊雄 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (30115951)
平井 啓久 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (10128308)
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (00177750)
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キーワード | ヤクシマザル / 実験動物 / ミトコンドリアDNA / Dグループ / sequence divergence / 18S rDNA / 第9染色体 / 幸島のサル |
研究概要 |
平成11年度はヤクシマザルの遺伝的特性を調査するため、ミトコンドリアDNA変異の分析を継続している。今年度の分析では、ヤクシマザルとホンドザルの分化を評価するために、九州と屋久島のサルの関係について調査をおこなった。九州の7地点(高崎山、久木野、相良、薩摩、串間、幸島、鹿屋)から得た試料を用いて、ミトコンドリアDNAのDループ領域の約400塩基配列を比較した。この結果、ヤクシマザルは九州のサルとは明瞭に区別できること、九州のサルからの分化の程度は平均sequence divergenceで1.6%であること、が明らかになった。この結果は、屋久島のサルが進化的に単一系統であり、ニホンザル全体の中では比較的早期に他地域から地理的に隔離され、成立したことを示唆している。ニホンザルの遺伝的変異幅の極に位置する存在であることから、実験動物化においてもニホンザルの特性を代表する有用な野生動物資源ととらえることができよう。さらに染色体の解析も継続していて屋久島北西部の個体に第9染色体に変異が観察された。すなわち標準型と短腕が伸長したタイプが見られた。これらについてリボゾームRNAの18S領域をコードしている遺伝子(18S rDNA)をプローブとしてFISH解析したところ短腕の伸長に個体差がみられた。またヤクシマザルの遺伝的あるいは形態学的低変異性がホンドザルと比べてどの程度かを定量するためホンドザルでも遺伝的変異性が低いといわれている幸島のサルの捕獲調査を行いもっか定量的な比較を行いつつある。
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