研究課題/領域番号 |
09410017
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浦 雅春 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (20193956)
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研究分担者 |
石光 泰夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60093366)
小林 康夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60153623)
杉橋 陽一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50015278)
河合 祥一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40262092)
高橋 宗五 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10134404)
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キーワード | 表象 / 舞台芸術 / 演劇 / パフォーマンス / 舞踊 / 身体表現 / 空間 / 映像理論 |
研究概要 |
本研究は既存の国や文化の枠を超えてクロスオーバー化する現代演劇の淵源とその方向性の解明を目指すものであるが、平成11年度はこれまで行ってきた一次資科、ビデオや近年登場したDVDソフトの収集・整理の継続に努めると同時に、それらの資料の電子メディア化の作業を行った。 理論的研究の面では、精神分析学の観点からヒステリー的身体のあり方に着目し、ヒステリー的身体が舞踊や演劇の場でいかに表象され、また歴史的過程のなかでいかなる変質を蒙ってきたかを分析した。併せてパフォーマンス芸術の分析装置として精神分析学が持つ可能性と有効性についても検討した。また、映像論の観点から、おもに映画に見られる映像表現と舞台における表象のあり方を比較し、その本質的差異を探ると同時に、表象システムがそれぞれのジャンルでいかなる機能を担っているかを理論的に考察した。 こうした理論的考察と平行して、本年度も引き続き研究の成果を広く一般に還元した。平成11年7月の公演ならびに講演「舞台芸術の伝統と現在」、平成12年1月フランスのクリスティーヌ・ビュシ=グリュックスマン氏を迎えて開催されたシンポジウム「Penser le virtuel en art」はそのほんの一例である。前者は京劇と狂言の二夜連続の公演で、アジアの身体表現を浮き彫りにするものであった。後者はデュシャンからコンピュータ・アートまで芸術におけるヴァーチャルなものを現代思想の観点から多角的に分析した。このほか平成11年6月にはシンポジウム「ラブレー・ことばの発明工房」、10月にはシンポジウム「中国ドキュメンタリー映画の現状」を開催した。 本研究は、歴史横断的・分野横断的な性格を有する研究である。それをいかに統合的な理論にまとめ上げるかが今後に残された課題である。
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