研究課題/領域番号 |
09410033
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
浦 光博 広島大学, 総合科学部, 助教授 (90231183)
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研究分担者 |
嶋田 洋徳 新潟大学, 人文学部, 講師 (70284130)
坂田 桐子 広島大学, 総合科学部, 講師 (00235152)
林 光緒 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00238130)
岩永 誠 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40203393)
坂田 省吾 広島大学, 総合科学部, 助教授 (50153888)
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キーワード | 科学 / 疑似科学 / 入眠時心像 / 脳科学 / 認知的構造化 / 超常現象 / 迷信行動 |
研究概要 |
平成9年度に続いて行われた平成10年度の研究によって、次の4種類の知見が得られた。 1. 入眠時心像の質的な変化と脳波段階との間に関連が認められた。覚醒水準が比較的高い段階では被験者にとって見慣れた風景や既知の人物が心像となって現れやすく、覚醒水準の低下とともに未知の人物や夢様体験の出現率が増加した。 2. 超常現象に対する肯定的態度が、外的な原因帰属傾向や対人的な相互作用といった個人的、対人的な影響を受けやすいことが明らかとなった。また、性差についてもいくつか顕著な結果が認められた。女性は男性と比較して、超常現象への信奉度が高く、科学に対して否定的であり、迷信についての会話が多かった。 3. 脳科学の可能性についての調査研究から、脳科学についての疑似科学的信念は、同じ脳科学についての他の信念と比較して、個人の認知的構造化の程度の影響を受けやすいことが明らかとなった。具体的には、脳科学の発展が超能力の開発に寄与するだろうとの信念は、認知的構造化の程度の高い者において特徴的であった。 4. 疑似科学的信念の変容に対する科学教育の効果が認められた。具体的には、金縛り体験のある学生に対して、金縛りについての科学的な検討の結果を教育することによって、その体験についての科学的解明への欲求が高まるという結果が得られた。 以上の結果は、疑似科学的信念の形成には、具体的な体験とともに、対人的な相互作用や、個人的諸要因が関与していることを明らかにするとともに、それらの現象についての多角的な視点からの見直しや、教育による働きかけによって、疑似科学的信念を変容させうることを示唆している。
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