研究課題
全国質問紙データの分析を進め、12月の研究会で、英文報告書の大枠が固まった。また、かなりのエネルギーを投入し、調査票の英訳を完成させた。本研究では、全体として、公正感の基本的な心理機構のヒューリスティクスを研究し、公正感の日本的特質、時代的特性、時系列的変化を明らかにしようと試みている。より具体的に、1)「収入・資産」の分布の不平等、2)「能力観・努力観」の日本的特質とその変容、3)価値理念の中での公正の位置、4)性別・エスニシティなどの生得的原因に根ざす不公正とその解決の方向、5)政治的・経済的公正をめぐる人々の意識のあり方、などについても研究を進めており、英文報告書にまとめようとしている。また、報告書に間に合うかどうかは未定であるが、以下の試みも進行中である。第1に、質問紙調査中の自由回答について分析を進めている。第2に、ヴィネット調査の研究を試みている。第3に、心理学的な実験に基づく考察やシミュレーション的研究を追求している。ただし、論文草稿への相互コメント、コメントを受けての再分析・再執筆の他に、英文のチェック作業もあり、英文報告書を予定通りに2000年3月末に刊行できるかどうか、進行中の仕事をどこまで収録できるか、微妙である。