研究概要 |
本研究では、ユニタリ群上の保型形式の理論(特にその数論性),および関連する局所体上の代数群の表現論を中心に考察を行った.平成9-11年度に得られた主要結果の概要は次の通りである.(6を除いて菅野孝史氏(金沢大・理)との共同研究である.) 1.原始的テータ関数と関連するU(1)のmetaplectic表現の研究を行った.特に,U(1)のepsilon dichotomy現象を詳しく研究し,その簡明な別証および精密化を得た. 2.1の理論を用いて,U(2,1)上の保型形式のShintaniによるFourier-Jacobi展開の理論をアデール的に再定式化し,精密化した. 3.2の定式化の下で,U(2.1)のEisenstein級数のFourier-Jacobi展開をexplicitに計算し,係数がHecke L-関数の特殊値で表されることを示した. 4.正則Eisenstein級数のFourier-Jacobi係数が消えないような原始的テータ関数は対応するHecke L-関数のcritical central valueが0でないものに限られるというcriterionを(まだ証明されていない例外的な場合を除いて)示した. 5.楕円モジュラー形式から3次ユニタリ群上の保型形式へのKudkaによるliftingの理論をアデール的に再定式化した. 6.局所体のn次ユニタリのmetaplectic表現のsplittingを得た.また,lattice modelの上のtrace formulaを用いることにより,Howeによるmetaplectic表現の指標公式の簡明な別証を得た.
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