研究概要 |
岡山天体物理観測所の188cm望遠鏡にを用いて衝突をしているセイファート銀河の天体観測を実施した。 まず、Mrk266を4月にのイメージングファブリペロ-モードで、5月にスペクトロネブビュラグラフで観測し、Hα,[0III],[SII}の輝線像およびグリーンと赤領域の3次元スペクトル分布を得た。これを解析した結果セイファート核から10Kpcにも長く延びる光電離ガスの領域が発見された。また、このセイファート核から放出される全放射エネルギーを見積もった。その結果この銀河は平均的なセイファート銀河よりも明るく、QSOとの中間のレベルに位置する活動レベルの高い天体であることがわかった。強い赤外線輻射は、衝突とこの高い活動性に起因すると考えられる。 つぎに、NCG7592を7月に「京都三次元分光器第一号機」を用いて、また、9月にスペクトロネビュラグラフによって観測し、Hα,[0III]輝線像およびグリーンと赤領域の3次元スペクトル分布を得た。このデータを解析しセイファート銀河核の近傍にセイファート核からの輻射によって形成されている双極型電離ガス領域を、それに直行する方向に星形成領域を発見した。この星形成領域には大量のガスが存在するので、双極が他輻射場を作るために存在していると推定されるトーラス構造と何らかの関係があると考えられる。また、衝突しているもう一方の銀河のガス運動の二次元速度場を得た。それを解析した結果、この銀河は円盤銀河であることがわかった。また、もっとも激しい星形成を示している領域はこの銀河の回転中心から外れた場所にあることがわかった。
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