岡山天体物理観測所の188cm望遠鏡にを用いて次の観測を実施した。 (1) LINER銀河の広がった輝線領域の探査 LINER(Low lonization Narrow Emission-line Region)銀河は活動銀河のうちで最も活動性の低い一群の活動銀河であるが、近傍の銀河のうち3分の1はLINER銀河であるといわれ、銀河活動の解明にとって最近急速に重要視されつつある天体である。この研究ではLINER銀河の広がった輝線領域領域の探査を行うこととし、約20個のLINERを観測候補天体として、「三次元分光器(第一号機)」のイメージングファブリペローモードを用いて、Hα+[NII]および[OIII]輝線の単色像観測を開始した。今年度は春および秋の二期にわたって合計約10個のLINERR銀河について撮影した。このうちおよそ3分の1のLINER銀河にHα線像でひろがった輝線領域を検出した。詳しい物理状態は現在解析中である。 (2) セイファート銀河の広がった低電離領域の観測 セイファート銀河の広がった輝線領域の物理状態から中心核から放射される電離放射の性質がよく調べられている。この結果、中心核をドーナツ状に取り囲む中性の密度の高いガスが存在し、この方向では電離輻射が遮られているという描像が得られている。これに基づけば、輻射が遮られた方向では星間ガスは低電離状態にあるはずであり、この物理状態を知ればドーナツ物質の形状や性質についての知見が得られる。この目的のもとに、セイファート銀河の広がった低電離領域を探査する観測を開始した。NGC1068のイメージングファブリペロー観測の結果、数カ所の低電離領域が検出された。
|