研究概要 |
本研究では長期間にわたる様々な地表面でのフラックス観測を通して,外部条件(放射量や風,降雨など)が変化する状況をできるだけ多く捉えて,それが地表面フラックスや接地境界層の構造にどのような影響を与えているかを定量的に評価し,それをモデル化することを目的としている。本年度はこれまで行ってきた陸面上での観測を継続すると同時に,海面上の観測に重点を置いた。そのために西太平洋赤道海域への航海に乗船し,地球上で最も水温の高い海面での貴重なデータを得ることが出来た。また,動揺する船舶の上でも精度の良い渦相関法の手法が使えるという,大きな収穫があった。一方,海面上での長期観測を実施するため和歌山県の白浜海洋観測塔を利用して,フラックスの連続測定と海面近傍の微細な温度分布の測定に取り組んだ。天候の条件に恵まれなかったために,必ずしも満足のゆく結果は得られなかったが今後の研究の継続にとって,有用な実験を行うことができた。 これらの結果は海外を含めた多くの学会等の場で成果の報告を行っており,今後の展開が注目されている。一方,これまでに蓄積された多くの観測データについてのまとめとモデル化の作業を並行して進めており、別途作成の冊子体にその結果が集約されている。本研究は本年度で一応のとりまとめを行い,区切りをつけることができたがまだまだ未解明の部分が多く残っており,更に研究を進めて行く必要がある。
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