研究分担者 |
古本 宗充 金沢大学, 理学部, 教授 (80109264)
神谷 隆宏 金沢大学, 理学部, 助教授 (80194976)
奥野 正幸 金沢大学, 理学部, 助教授 (40183032)
寅丸 敦志 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (50202205)
石渡 明 金沢大学, 理学部, 助教授 (90184572)
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研究概要 |
先カンブリア紀の縞状鉄鉱床やストロマトライトは微生物がつくった縞状堆積物である。それらの微生物がどのような種類なのか、どのように化石化や鉱物化したのか、その縞の周期やパターンが何によるものなのか,その形成メカニズムには多くの謎がある。過去の記録を読みとるとともに、現世のバイオマットから先カンブリア紀の微生物までの生体鉱物化作用について研究した。先カンブリア紀のブラジル、カラジャス鉱山の縞状鉄鉱床にはFe,Mn,Siが含まれ,赤と黒の縞模様がmmオーダーで認められる。この薄片には数百ミクロンの円形の藻類が一面に存在し、黒い層よりも赤い層に藻類が顕著である。カナダのガンフリント縞状鉄鉱床には、黒い層に糸状菌が、赤い層には球菌が多数認められた。このように、化石化した微生物はコロニーを作り,層状のパターンを形成することが明らかになった。これらの微生物から古環境を解析し、微生物の生体鉱物化作用を解明するための手段の一つとして現世のバイオマットがある。本研究では自然界で生じた層状パターンの実例とともに、実験室で微生物によってつくられた層状パターンを比較検討した。また、薩摩イオウ島の赤湯温泉では、入り江の岩石や砂礫の表面に柔らかい赤褐色のバイオマットが層状に堆積している。このバウムクーヘン状のバイオマット中にも多量の球菌,桿菌が認められた。さらに,固化したバイオマットは、低結晶性の鉄とマンガン鉱物の繰り返しパターンを示し、微生物も大量に保存している。すなわち、現世のバイオマットがつくる縞状堆積物は先カンブリア紀の縞状鉄鉱床の形成機構を示唆している。
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