研究概要 |
本研究は、リンゴ枝変わり系統について、芽条変異の発生機構の解明と、それに基づいた識別同定方法を確率することを目的として,本年度は以下の研究を行った。'つがる'の枝変わり品種を用いて,果皮のアントシアニンとアントシアニンへの中間代謝産物であるフラボノイド類の組成と量の比較を行った。その結果,アントシアニンについては,'つがる'で一つ成分が少なかったが,それはごく小量であった。フラボノイド類については,組成には大きな違いは認められなかったが,着色系は成熟初期からその総量が多く,2次代謝が'つがる'より活性化されていることが推察された。枝変わり誘発機構として、生長点における表層キメラ説とともにトランスポゾン説が有力である。しかし、リンゴにおけるトランスポゾンに関する報告はこれまで全くなかった。リンゴゲノム内にMITE(Miniature inverted-repeat transposable element)型トランスポゾンを見いだし,これをMajinと命名した。Majinは153bpからなり,リンゴの他,ナシおよびそれらの野生種にハプロイドゲノム当たり約6千コピー存在していた。そこで,Majinの内部配列をプライマーとしたDNAフィンガープリント技術を開発し,このゲノム上に高度に散在するMITEを用いたゲノム解析法が,リンゴ枝変わり品種の識別に活用できる可能性を明らかにした。
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