研究概要 |
エナシロキシン類は、アカパンカビと共に培養したときに酢酸菌と近縁のバクテリアFrateuria sp.W-315によって生産される抗生物質であり、グラム陽性およびグラム陰性のバクテリアの生育を抑制する。この物質の作用機構は、タンパクの生合成阻害であることが明らかにされており、特に抗マラリア活性に関しては、イギリスの研究者の注目を引いている。従来の研究成果に加えて、エナシロキシンの生合成に関する物質を検索したところ、生合成経路と密に関係して消長する酸性物質が存在することを見いだした。さらに昨年までに解明できたエナシロキシンの部分構造を有機合成によって確認すべく、新たに研究を開始した。1,2-5,6-diisopropylidene-D-glucoseを原料にして、側鎖を右に延ばした場合と左方向に延ばした場合とでは、最終生成物の絶対立体配置が逆になるような合成経路を考案した。これらの最終部分化合物と天然物由来の部分を比較によって天然エナシロキシンの絶対立体配置の全立体化学が解明されるものと考えられ、現在研究を続行中である。 また次の論文を作成・投稿準備中である。 1. Intramoiecular Migration of Acyl Group of Enacyloxin IIa Methyl Ester. 2. Absolute Configuration of 3,4-Dihydroxy-1-cyclohexanecarboxylic acid in thestructure of Enacyloxins.
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