研究分担者 |
清水 みゆき 日本大学, 生物資源科学部, 専任講師 (90242370)
下渡 敏治 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (00120478)
安村 碩之 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (60059912)
田村 馨 福岡大学, 商学部, 助教授 (20258510)
斎藤 修 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40144894)
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研究概要 |
1. 他の農産物と同様,野菜についても「食」と「農」との距離が拡大し,その間に野菜加工業など多くの食品産業が介在するようになった。従来,農家が生産した野菜が,ほぼ同じ姿形のまま各家庭で調理されていたものが,惣菜,調理食品や一次加工された冷凍野菜などの需要が拡大したことから,それらを加工する製造業者が農家と消費者との間で重要な役割を果たすようになり,野菜についても業務用需要が増えてきたことを統計的に明らかにした。 2. 野菜の加工は,多様な形で展開してきている。たとえは,ファーストフードなどの単品のカット野菜を大量に消費する領域では,主として産地立地型のカット野菜企業から供給され,弁当や惣菜,一般レストランなどでは多品目少量のカット野菜が需要されるが,そこへは消費地立地型の企業が対応している。また,その消費地立地型のカット野菜企業でも,ホールの野菜から製品を作るのでなく,外皮剥ぎや芯抜き,皮剥きなどの作業を産地立地型の企業が行い,それら一次処理された原料野菜を調達するなど,カット野菜供給においても種々な分業システムが形成していることを明らかにした。 3. 外食企業や野菜加工企業における原料調達は,卸売市場,農家との契約栽培,ならびに輸入に分けられるが,近年,契約栽培と輸入による調達が増加している。本研究では,とくに契約栽培をめぐる加工企業と農家との主体間関係について,その両者の間に提携関係が形成している例や,減農薬など差別化食材を生産する原料生産者同士がネットワークを組織してユーザーに対応している例などを具体的に解明した。また,これら原料生産者とユーザーとの関係では,コーディネーターの役割が重要となるが,実態調査の中からその機能を析出できたことも成果の一つである。
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