研究概要 |
歯質や各材料の微小領域における変形挙動の特徴を明らかにし,人歯の加齢現象に適した加齢シュミレーションを考案し,加齢シュミレーション後の歯質の微小領域の変形挙動の相違を明らかにするのが本研究の目的である. 本年度は比較的入手可能な牛歯象牙質を用い,ダイナミック硬さ試験機にて荷重徐荷時の押し込み深さにより弾性変形,塑性変形を求めた.しかし,牛歯象牙質は水分の影響を大きく受け,ダイナミック硬さ試験機の測定環境においては加齢による微小な変化を評価するには適さないことが判明した. 次に、牛歯象牙質小型引張試験片を用いて加齢によって引張強さがどう変化するか検討したところ,単純な引張強さでは差が認められなかったが疲労強さは有意に減少していた.この小型引張試験片を用いて,非接触レーザースペックル歪み測定法を用いて弾性挙動が測定について検討した.まず,この測定法は表面のレーザー光の乱反射を利用する方法であるが,象牙質のような半透明体には前処置が必要となった.そのため,半透明体である歯科用コンポジットレジンを用いて測定結果と箔歪みゲージを用いた測定結果を比較検討した.その結果,コンポジットレジンにおいても非接触レーザースペックル歪み測定法の値と歪みゲージ測定法の値が良く一致することを明らかとなった. そこで,現在,より小型の牛歯象牙質小型引張試験片と歯科用コンポジットレジンを作製し,測定結果に寸法の影響が認められるかを検討中である. 加齢シュミレーションとしては蛋白質の変性に注目し,牛歯を沸騰水や,根管消毒剤に浸漬して象牙質引張強さが変化するかを検討したところ引張強さが減少する条件と,増加すう条件が認められた.現在と測定試片にあらかじめ繰り返し荷重を付与してから引張強さや変形挙動がどう変化するかを検討中である.
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