研究課題/領域番号 |
09470465
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三谷 英夫 東北大学, 歯学部, 教授 (50014220)
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研究分担者 |
佐伯 修一 東北大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60271954)
五十嵐 薫 東北大学, 歯学部, 助手 (70202851)
篠田 壽 東北大学, 歯学部, 教授 (80014025)
平藤 雅彦 北海道医療大学, 薬学部, 助教授 (20142987)
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キーワード | 一酸化窒素 / 歯根膜 / メカニカルストレス / 歯の移動 |
研究概要 |
目的:歯根膜は咀嚼に伴う咬合力や、矯正力などのメカニカルストレスに対して適応し、その恒常性を保っている。この歯根膜の適応反応には、様々な局所因子の関与が示唆されている。本研究は、最近骨におけるメカニカルストレスのメディエーターとして注目されている一酸化窒素(NO)に着目し、歯根膜におけるNOの役割を明らかにすることを目的としている。今年度は、歯に矯正力が負荷された際の歯根膜における一酸化窒素の役割を薬理学的手法を用いて検討した。 方法:実験動物として8週齢のWistar系雄性ラットを用いた。歯の移動には規格化して作製した拡大装置を用い、上顎左右第一臼歯を頬側に21日間移動させた。すべての動物に対し、左側臼歯部に薬剤を、右側臼歯部にその溶媒のみを3日ごとに片側50μlずつ局所投与した。薬剤は、NO合成酵素(NOS)阻害薬として非特異的阻害薬であるL-NAMEと誘導型NO合成酵素(iNOS)の特異的阻害薬であるL-NIOを、自発的NO発生剤(NOドナー)としてNOR4とNOC18を用いた。歯の移動量は、上顎の精密模型を万能投影機上でトレースし、第二・第三臼歯の歯頚部を基準に重ね合わせをして計測した。 結果:1.L-NAME(10mg/ml)投与群では薬剤処理側の歯の移動が有意に抑制されていた。2.LNIO(5mg/ml)投与群では実験期間を通してそのような差は見られなかった。3.NOR4投与群では薬剤処理側の歯の移動がやや抑制される傾向が見られたが、有意差は無かった。4.NOC18投与群においても差は見られなかったが、体重増加や歯の移動量が他の群に比べて少なく、全身的な影響が示唆された。 結論:矯正学的歯の移動において、構成型NO合成酵素由来のNOが重要な役割を担っている可能性がある。
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