研究概要 |
本年度の主たる新知見は以下の2点である。 1) 慢性高山病(chronic mountain sickness、CMS)におけるatrial natriuretic peptide(ANP)および赤血球2,3-diphosphoglycerate(2,3-DPG)の役割を明らかにするために、中国青海省高原医学研究所で経験した海抜4,300mの高地に生活するCMS 13例(全て男性)および男性健常人18例について、血漿ANP、2,3-DPG、ヘマトクリット(Ht)、ヘモグロブリン(Hb)および耳朶血液ガス分析を施行した。 CMS Non-CMS p-values 年齢(歳) 36±3 39±2 NS Hb(g/dl) 22.3±0.5 17.3±0.4 <0.01 Ht(%) 69.0±0.85 9.6±1.2 <0.01 ANP(pg/ml) 113.4±5.5 87.6±4.7 <0.01 2,3-DPG(mmol/L) 5.2±0.2 4.4±0.1 <0.01 PaCO_2(mmHg) 27.5±0.6 25.0±0.8 <0.05 PaO_2(mmHg) 44.3±1.0 50.1±0.7 <0.01 Mean±SE;NS,not significant ANP値とHb値は正の相関(r=0.828,p<0.01)を、また2,3-DPG値とPaO_2値は負の相関(r=-0.786,p<0.01)を示した。これらは血漿ANP濃度はCMSの重症度を反映し、多血症の発症に2,3-DPGの過産生の存在が示唆された。 2) HLA typingを肺非結核性抗酸菌症、特にMycobacterium avium- intracellulare(MAC)で検討した。胸部画像上肺MAC症の増悪群27例、健常群100例の検討ではHLA A26が肺MAC症で有意の高値(p=0.0015,OR=4.05)であった。
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