研究課題/領域番号 |
09480133
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境保全
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
米谷 俊彦 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (00025412)
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研究分担者 |
今野 晴義 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (10108178)
田中丸 重美 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (10116478)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | 羅生門ドリーネ / 冷気流 / 安定成層 / 水蒸気循環 / 高炭酸ガス濃度 / 光合成蒸散反応 / 陰性植物 / 植物保護 |
研究概要 |
新見市草間にある羅生門ドリーネにおいて、微気象観測とドリーネ内に生育している植物の光合成蒸散反応を測定した。連続観測した気象要素は、多地点における気温、湿度と底部における日射、光合成有効放射量、地温、露量、炭酸ガス濃度などである。また、ドリーネ底部に繋がる石灰洞内の2地点の気温、湿度、洞窟内部の気流の測定も継続した。特別観測期間には、石灰洞の封鎖、開放に伴う気象要素の高度分布や経時変化を測定した。一方、ドリーネ内に生育している8種の植物の光-光合成速度曲線、光-蒸散速度曲線などを求めた。さらに、底部に生育しているコミヤマミズやチドリノキの光合成、蒸散速度の日変化、コミヤマミズの生育状況や体内成分の測定を行った。 羅生門ドリーネには、夏季に極めて安定な温度成層が形成されており、冷気が洞窟を通って流れ込み、底部は冷涼(約15℃)で高湿度(90%以上)、高炭酸ガス濃度(約600-700ppm)になっていた。約1月間の洞窟封鎖期間には、底部の気温が約3℃上昇し、水蒸気や炭酸ガス濃度も著しく増加して、コケの生育に好適な環境が形成された。これらの一連の実験によって、ドリーネ内部への冷気の流入は、洞窟内部で除湿された空気をドリーネ内部に輸送するため、ドリーネの乾燥化を引き起こすことが確かめられた。 ドリーネ底部に生育している多くの植物は陰生植物の特性を持っており、蒸散、光合成、呼吸などの生理作用を通して、水蒸気、炭酸ガス循環に密接に関わっていることが明らかになってきた。また、日当たりの悪い底部と日当たりの良い場所に生育しているコミヤマミズを比較すると、生育状況が異なるばかりでなく、蛋白質や糖分などの体内組成も著しく異なっていることが分かった。 今回の研究で蓄積された厖大な資料の解析をさらに進めて、羅生門ドリーネにおける水蒸気、炭酸ガス循環過程を尚一層詳しく解明したいと考えている。
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