本研究では、集光型宇宙太陽発電衛星に必要なサンドイッチ型発送電モジュールの開発が目的である。本年度は最終年度であり、発送電モジュールの心臓部ともいえるレトロディレクティブ方式の実証モデルの製作と、開発成果の総括としてのマイクロ波ビーム制御のデモンストレーションを行った。 宇宙から地上へ無線送電を行うためには、高精度なビーム制御が要求され、レトロディレクティブ方式が最適と考えられている。この方式は受電側から送られたパイロット信号を基に送電波の送信位相を制御する方式である。本研究ではレトロディレクティブ方式のための移相器を数種類開発した。それは回転型、デジタル型、アナログ型、ハイブリッド型移相器である。デジタル移相器では、位相精度や損失の点で改良し、損失で約-2〜-3.5cBに抑えることができた。アナログ移相器ではスタブの活用により位相を約180°変化させることができた。回転型移相器は、電気素子を使用しない点や簡単な構造など新しいコンセプトの基で、Active Phasec Arrayの位相制御に有効性を示した。ハイブリッド型は、デジタル型とアナログ型の長所を生かした移相器で、容易に7bitsもの精度を実現できることを示した。 4台のサブアレイからなるレトロディレクティブ方式を開発し、マイクロ波送電のデモンストレーションを行い、約4mの距離のビーム制御に成功した。このデモンストレーションでは、送電波はレトロディレクティブ方式により制御され、レクテナに取り付けられたLEDの点灯により受電を確認した。またサンドイッチ型にすることにより、制御部とアンテナ間の距離を狭めることができたため、損失を抑えることができた。このデモンストレーションの成功により、本研究で開発したレトロディレクティブ方式の有効性を実証した。さらにサンドイッチ型宇宙太陽発電衛星の有効性を実証できたと考える。
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