研究分担者 |
中村 健太郎 住友林業(株), 筑波研究所, 研究員
益守 眞也 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50282702)
池田 裕行 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (30012090)
小島 克己 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (80211895)
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研究概要 |
本年度は、予定していた、Gemelina arboreaとPheronema canescensの他Azadirachta excelsaについてクローン増殖法を確立した。また、これら樹種のカルスからの植物体再生法について検討し、Gemelina arboreaにおいて、不定芽の形成が認められた。次に、オーストラリア産の熱帯アカシア5種類について、芽生えの試験管内さし木法を開発した。一方、Acacia auriculiformisについて、茎軸組織を用いてカルス誘導を行い,その茎軸由来のカルスを用いてカルスからの植物体再分化を行った。再分化培地においては,まだ植物体の再分化は見られない。しかし,カルス誘導培地より再分化が見られた。また、組織培養により得られたフタバガキ科樹木の苗木を野外へ植栽するための、外生菌根菌の感染方法の確率を試みた。Hopeaodrata,Shorea roxburghiiおよびAnisoptera sp.の実生苗各種10本を、外生菌根を形成しているDipterocarpus gracilis,Hopea odrataおよびShorea roxburghiiの地際部周辺へ植栽したところ、約6ヶ月後すべての苗木に外生菌根の形成が認められた。なお、この共生菌はScleroderma sp.と同定された。今年度,この菌を分離することに成功しており,今後,この菌の接種方法の確立およびフタバガキ苗木への菌の接種効果について調査を行う予定である。さらに、組織培養により増殖・順化した苗木について,順化後の生育状況の調査を行った。Paraserianthes falcataria20本,Gmelina aborea20本およびPeronema canescens2本の順化苗を、樹芸研究所温室内で栽培した。その結果,Gmelina aboreaおよびPeronema canescensは,すべての苗木が順調に生育を続け,1年後においても,すべての個体が健全であった。また,Paraserianthes falcatariaでは,2個体が枯死した以外は健全に生育した。Paraserianthes falcatariaの枯死原因は、カイガラムシによる虫害であり,組織培養によるホルモン等の影響ではないと考えられた。 更に、フタバガキ科樹木の開花促進法として、Dipterocarpus gracilisの約5mの若齢木に剥皮処理を実施した。
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